解決すべき課題
何気なく投稿した写真から個人情報が特定されることが日本の学生の間で深刻化しており、ドコモは春休みの活発な投稿シーズンを前に手を打ちたかった。しかし通信会社による普通の警告は十代の若者には説教のように響いて読み飛ばされ、ブランド側は若者はリスクが「自分ごと」と感じられたときに初めて行動を変えると考えていた。
アイデア
華やかなインフルエンサー写真展を開催し、その上階で、あらゆる「美しい」一枚が位置情報や指紋、鍵を漏らしていることを明かす——それによってSNSのリスクを自分事として感じさせる。
仕組み
2025年2月22〜23日、ドコモは東京・青山のライトボックススタジオAで「ばくモレ展」を開催した。「盛れる」と「漏れる」をかけた名前だ。1階は普通のインフルエンサー展のようで、SNS全体で150万人以上のフォロワーを持つかとゆりを含む10人のインフルエンサーがスマートフォンのカメラで撮った70枚の写真を展示していた。宣伝には教訓めいた気配は一切なく、TikTokの投稿は高校生自身の盛り上がりのように演出され、ドコモのコーポレートアイデンティティは見えないところに置かれていた。来場者が秘密のゾーンに入るのは上階だけで、そこでは写真一枚ごとに、窓の映り込みや住所表示が位置を明かし、指が指紋をさらし、撮影された鍵が複製されうることを説明し、最後にクイズで締めくくった。
成果
2日間で約1,000人が来場し、予想の2倍に達した。テレビ報道により、対象としていた十代や二十代だけでなく、それより幅広い層の来場者も集まった。この作品は第65回ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのブランデッドコミュニケーション部門でACCゴールドを受賞し、第5回JAAチャレンジアワードでゴールドとオーディエンス賞、第78回広告電通賞でシルバーを受賞。2026年6月には、174件の応募の中から第12回JACEイベントアワードのグランプリ(経済産業大臣賞)を受賞した。
背景
NTTドコモは2025年初め、何気ない写真から個人情報が特定されるケースが増える中、若者、とりわけ学生のSNS投稿トラブルを減らすことに乗り出した。同社のブランドチームは、通信会社からの率直な警告は説教のように受け取られ無視されると判断し、リスクを「自分ごと」、つまり自分に起こることとして感じさせるにはどうすればよいかが課題となった。
その答えが、2025年2月22〜23日に東京・青山のライトボックススタジオAで開かれた2日間の展覧会「ばくモレ展」だった。1階は憧れを誘うインフルエンサー展のようで、SNSフォロワー150万人以上を持つかとゆりを含む10人のインフルエンサーがスマートフォンのカメラで撮った70枚の写真を展示した。TikTokでの宣伝は高校生自身の興奮した投稿のように演出され、若者が楽しさを求めて来場するよう、ドコモはあえて自社のコーポレートアイデンティティを公のストーリーから外した。
仕掛けは上階の秘密のゾーンにあり、その存在は一切告知されなかった。無邪気に見える写真の一枚一枚が、静かに情報を明かしていたのだ。窓の映り込みや住所表示は位置を明かし、手のアップは指紋を読み取らせ、撮影された鍵は複製できた。来場者はそれぞれの漏えいの説明を巡り、最後にクイズに答えた。来場者は約1,000人に達し、予想の2倍となった。テレビ報道により、このイベントが想定した十代に加えて30代や40代の人々も訪れた。
このアイデアはイベント後も評価を集め続けた。第65回ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのブランデッドコミュニケーション部門でACCゴールド、第5回JAAチャレンジアワードでゴールドとオーディエンス賞、第78回広告電通賞でシルバーを受賞し、2026年6月には174件の応募の中から第12回JACEイベントアワードのグランプリ(経済産業大臣賞)を受賞した。
なぜ響くのか
この二面性は、行動そのものを伝達の仕組みとして用いた。来場者は「盛れた」写真を投稿する体験をしてから、その写真が何を明かしてしまうのかを見せられた。
ドコモは宣伝から自社の企業としての声を排除した。その結果、既に理解している人たちに説教するのではなく、来場者数は予想の2倍に達した。
物理的な仕掛けによる明かしが、抽象的なリスクを具体的にした——位置情報、指紋、鍵は、来場者が自分のフィードから抜き取られうるものとして想像できるものだった。
展示は会場で終わらなかった。このコンセプトはブラウザゲームや無料の授業教材として再構築され、教訓を学校へと運んだ。
人々がすでに大好きなコンテンツの中で危険を発見できるようにすること。来場者が明かしの場に着くまで説教を隠したことで、SNSの漏えいは企業の警告にはできない形で自分事として感じられた。
その後
展覧会の終了後、ドコモはこのコンセプトを無料ブラウザゲーム「インフルエンサー育成ゲーム ばくモレ」として再構築し、2026年3月24日に公開した。神戸大学名誉教授の森井昌克氏監修による授業用スライドとワークシートも用意され、子ども向けの教育プログラム「Sustena School」へ内容を展開する予定だという。受賞も続き、2026年6月には174件の応募の中から第12回JACEイベントアワードのグランプリ(経済産業大臣賞)を受賞し、ACCゴールド、JAAチャレンジアワードゴールド、広告電通賞シルバーに加わった。
出典をたどる
出典
- あなたの投稿は大丈夫?SNSの“盛れ”に潜む“漏れ”を暴く「ばくモレ展」(Is your post safe? Baku More exhibition) NTT Docomo docomo EVERYDAY · docomo.ne.jp
- 東急エージェンシー、第65回「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」でACCゴールドを受賞 (Tokyo Agency wins ACC Gold) D2C News (Startrise) · startrise.jp ·
- 「盛れ」てるけど「漏れ」てるかも? ドコモが「ばくモレ展」でSNSのリスク啓発 AdverTimes · advertimes.com ·
- NTTドコモ「ばくモレ展」が日本イベント大賞 SNS情報漏洩を“盛れる”写真展で啓発 AdverTimes · advertimes.com ·
- インフルエンサー育成ゲーム ばくモレ (Influencer Training Game Baku More) NONAME Produce · n2p.co.jp ·
- SNSの情報漏洩リスクを学べる無料ブラウザゲーム「インフルエンサー育成ゲーム ばくモレ」をNTTドコモが公開 4Gamer · 4gamer.net ·