解決すべき課題
日本の夏の高校野球選手権はプロ野球以上に熱狂的に追われる。49の地区優勝校が甲子園球場に集い、なかには最後の試合になるかもしれない10代の選手たちに、ファンの野次がさらなる重圧をかけることもある。大会を毎夜放送するテレビ朝日は、観客が負担を増やすのではなく、応援者として振る舞ってほしいと考えた。
アイデア
大会の応援ポスターを、選手が持ち帰る「聖なる土」——実際の球場の土——で作り、試合当日にすべてのファンが通る駅に掲出する。
仕組み
電通東京と協働し、ABCは甲子園球場のグラウンドと同じ配合で調合した土だけで描いたB1ポスターを3枚制作した。土は10kg、100枚以上のテスト印刷、2か月の手作業を要した。文言は選手の声で語られる。「信じてくれた人がいる」「喜ばせたい人がいる」「託してくれた人がいる」。2023年8月1日、第105回大会開幕の数日前から、ポスターは球児もファンも降り立つ最後の駅、阪神甲子園駅に掲出された。
成果
世界に3枚しか存在しないポスターは、選手にとって最も神聖な形見——努力の証として持ち帰る球場の土——を、優しさへの呼びかけへと変えた。この作品はOne Show 2024ゴールドペンシル(デザイン、ポスター/シリーズ)とADC 2024ゴールドキューブを受賞した。
背景
毎夏、甲子園球場で行われ全国放送される日本の高校野球選手権は、プロ野球以上に情熱をかき立てる。49地区の代表校が集い、チームが敗れれば、多くの選手が二度と競技に戻れず引退することになる。サポーターの熱気は攻撃性に転じることもあり、人生で最も重要な試合に臨む10代の選手たちに重圧を加える。
2023年の第105回記念大会を毎夜の番組で伝えたテレビ朝日は、応援する雰囲気を育みたいと考えた。電通東京とともに、土だけで描いたB1応援ポスターを3枚制作した。球場のグラウンドと同じ配合で調合した土10kg、100枚以上のテスト印刷、2か月の手作業による。メッセージは選手の視点で書かれている。「信じてくれた人がいる」「喜ばせたい人がいる」「託してくれた人がいる」。
2023年8月1日、3枚のポスターは選手も観客も到着する駅、阪神甲子園駅に掲出された。土は、球児が最後の試合の後に記念として持ち帰る伝統的な「聖なる土」と同じもので、ポスターは大会の105年の歴史と選手の努力を観客の役割へと結びつけた——サポーターは野次るためではなく支えるためにそこにいるという想起である。
心に響く理由
球場の土は選手にとって最も感情的な形見であり、それで作られたポスターはどんなスローガンにもできない主張を宿す。
駅に掲出することで、ファンが最初の投球の前に観客となる瞬間を捉える。
選手の声(「信じてくれた人がいる」)で語ることで、観客の役割を審判から支援者へと組み替える。
土で一点物のポスターを3枚手作りすることは、優勝への道の希少さと丁寧さを映し出す。
持ち帰れること
観客自身の儀式の対象を素材として借りること。ポスターが皆が崇めるものそのもので作られていれば、媒体は一言も読まれる前に感情的な主張を届ける。
その後
ポスターは、4年ぶりに夏の大会が全面的な声出し応援に戻ったなかで掲出された。作品はOne Show 2024デザイン(ポスター/シリーズ)ゴールドペンシルとADC 2024ゴールドキューブを受賞し、D&ADは本ケースをアワードアーカイブに収めている。このアイデアは、試合そのものの儀式の対象を媒体として用いた、観客の攻撃性に対する静かな日本のクラフト的解決策として記憶されている。
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出典
- The Sacred Dirt D&AD Awards Archive · dandad.org
- 夏の高校野球4年ぶりの開幕、土だけで描く「世界でたった3枚だけの」エールポスター WEB ザテレビジョン · thetv.jp ·
- 2024 One Show — Posters/Series: The Sacred Dirt The One Club · oneclub.org
- 2024 ADC Awards — Posters/Traditional-Series: The Sacred Dirt The One Club · oneclub.org