解決すべき課題
Dan Salvatoは、ビジュアルノベルを遊ばない層も怖がらせられるホラー作品を作りたかったが、恋愛シミュレーションというジャンルには参加をためらわせる敷居が内在していた。また、どんでん返しを直接宣伝すれば驚きが失われてしまうという問題もあった。
アイデア
萌え系恋愛ゲームの外殻を保ち、途中でそれを崩壊させ、キャラクターにプレイヤーの存在を気づかせる。対比によって、どんでん返しを宣伝せずにホラーを届ける。
仕組み
2017年9月22日に公式サイトで無料公開され、10月6日にSteamで配信開始。価格はゼロで任意の投げ銭制だった。ゲームの前半は典型的な恋愛日常だが、その後ファイルが改ざんされ、キャラクターが制御を失い、物語はゲーム画面の枠を越えていく。
成果
配信開始から3か月足らずでダウンロード数が100万を突破した(PCGamesInsiderが2017年12月に報道)。配信者や口コミによる自己増殖に依存していた。2021年に有料強化版Plus!(『Plus!』)が発売された後も、オリジナル版は無料のままだった。
背景
2017年9月、Dan SalvatoはTeam Salvato名義で『Doki Doki Literature Club!』をリリースした。表向きは萌え系の恋愛ビジュアルノベルで、文学部に加入し、4人の少女と詩を書き、選択を行う。しかし実際には心理ホラーの仕掛けであり、物語が進むにつれてゲームファイルが「改ざん」され、キャラクターがプレイヤーの存在を意識し始め、物語は繰り返しゲーム画面の枠を越える。Salvatoはこれがビジュアルノベルという媒体への省察であり、アニメや恋愛テーマへの愛と憎しみの両方を表す手紙だと語った。
重要な設計は、どんでん返しを宣伝しないことだった。SalvatoはMCV/Developのインタビューで、DDLCはそのゲームプレイをほとんど宣伝できないため、価格をゼロに設定したと述べた。公式サイトから無料ダウンロード、Steamでも無料で追加でき、任意の投げ銭制とした。10ドル以上の投げ銭にはFan Packが付いた。その理由は「短く、無料で、ジェットコースターのような体験、失うものは何もない」というもので、この言葉は後にプレイヤーが友人をゲームに誘う際の定番の売り文句となった。
結果は予想を超えた。PCGamesInsiderの2017年12月の報道によれば、配信開始から3か月足らずでダウンロード数が100万を突破し、Steam版もそれに続いた。「見た目に騙されるな」というスタイルの配信者やSNSによる口コミが、本来ニッチなはずのビジュアルノベルをその年の話題作へと変えた。2021年に有料強化版Plus!が発売された後も、オリジナル版は無料のままだった。Salvatoは、DDLCが人気を得たのはまさに無料だったからだと述べている。
成功する理由
どんでん返しそのものが売りであり、宣伝すれば台無しになるため、無料化によって試す際の障壁をゼロに下げた。
対比を前提とした仕掛けが、ビジュアルノベルやアニメに親しみのない層も引き込んだ。彼らはゲームの実態を知りたかったのだ。
任意の投げ銭が「価格ゼロ」を配布上の強みに変え、ファンの支援がそのままブランド資産に転換された。
キャラクターが「あなたがプレイしていることを知っている」というメタ物語が、共有したくなるホラーの瞬間を数多く生み出した。
得られる教訓
売りがネタバレになる場合、配布が創造的な行為になる。無料化は試す際の障壁を下げ、プレイヤーにどんでん返しを発見させ、任意の投げ銭が口コミを収益に変える。
その後
『Doki Doki Literature Club!』はビジュアルノベルがニッチを脱する画期的な事例となり、2010年代後半のインディーゲームにおける「無料+口コミ」型配布のモデルとも見なされている。2021年、Team SalvatoとSerenity Forgeは有料強化版『Doki Doki Literature Club Plus!』をリリースし、複数のプラットフォームで展開され、コンテンツ警告やアクセシビリティ設定が追加された。Salvatoはオリジナル版は永久に無料であり続けると述べた。彼自身は個人開発者からブランドマネージャーへと移行し、その後のプロジェクトは長年にわたり公表されなかった。
出典をたどる
出典
- Doki Doki Literature Club has been downloaded 1m times PCGamesInsider · pcgamesinsider.biz ·
- Behind the scenes of Doki Doki Literature Club Plus! MCV/Develop · mcvuk.com ·